2014年9月

「重ね言葉」は、日本語のワナ

連載 第19回 2014年9月12日(金)

 今年の夏は猛暑だけでなく、局地的な大雨が全国あちこちで降ったり、また9月に入ってからはデング熱の感染が広がったりと、気候そのものが変わってきていると感じさせるニュースが相次ぎました。

そんななか、マイクロメイツのマニュアル案件として、現在、大規模なマニュアル作成のプロジェクトに取り組んでいます。開発会社様の拠点に15名くらいのチームを常駐させて、数千ページのマニュアルを来年1月くらいまでに作成・納品する。規模が大きい、つまりライターが多いということで、品質管理にはかなり神経をつかいます。
システム操作を正確に説明する、というマニュアル本来の内容はもちろんですが、基礎的なことでも難しい面がいろいろあります。そのひとつが用語の統一。それぞれのライターの書きっぷりが違うため、明確な指標がないと文章表現がばらばらになってしまいます。そのために必ず「用語集」を作成して、マニュアル全体を通して一貫性を保つようにしています。
しかし、日本語は難しく、マニュアルを内部チェック(校正)している際に時として日本語として「?」な表現を見つけることがあります。
そんなことを考えていたら、朝日新聞に「気にせず使っている重ね言葉は?」という記事に目がとまりました。
その上位5位は次のとおりでした。

順位

間違っている表現

なぜなら・・・

1位

決着がつく

「着」と「つく」は意味が重なる

2位

違和感を感じる

「感」が二重。正しくは「違和感を覚える」「違和感がある」

3位

従来より

「従来」と「より」は意味が重なる

4位

お体をご自愛ください

「ご自愛」には体の意があり、「お体」は不要

5位

第1日目

「第」も「目」も物の順位を表している

 

これら以外にも「遺産を残す」「後悔が残る」「過半数を超える」「留守を守る」「あとで後悔する」といった誤用が紹介されており、普段から使っている言葉が日本語として誤っていることに驚きさえ感じます。
さらに、わたしたちがマニュアルを書く際に、同じ意味の言葉を繰り返して使ってしまうことがあります。たとえば。

 まず最初に、○○○ボタンをクリックします。

 各ファイルごとに、所定の名称をつけます。

 あらかじめ予定されたスケジュールに沿って作業します。

これらは文章として明らかに冗長ですから、少し気をつければこうした記述はしないのですが、ライターも人間。見事に日本語のワナにはまり、無意識のうちに書いてしまう場合があるのです。「無意識」といえば、本コラムのテーマである脳と深く関係する領域だと思いますが、それはまた別の機会に考えましょう。

今回の大規模プロジェクトは、これからが佳境。正しい日本語で、役に立つマニュアルをつくっていきたいと思います。