【コラム】マニュアルを、共に、つくる

連載 第10回 2011年4月11日

わたしたちがマニュアルを作成する際のお客様は、大きく分けるとふたつのパターンがあります。ひとつはシステム開発会社(いわゆるSIer等)であり、もうひとつはユーザーと直接です。今回はマニュアルをつくる際のパートナーシップについて考えます。

システム開発会社と共に

比較的多いのはシステム開発会社からの依頼で操作マニュアルを作成するケースです。この場合は事前にシステムの基本設計書や要件定義書、画面設計書、画面遷移図などの資料を提供いただき、可能であればシステム環境をご用意いただいてから作業を始めるケースがほとんどです。システムを開発する現場ですから、必要な資料等は比較的スムーズにいただけることがほとんどです。また、ご担当のSEの方にヒアリングすることにより、システムの概要、内容をつかむことができますし、画面採取などのときも都度、質問しながら進めることができます。常駐することもありますし、持ち帰りで作業することもあります。
このケースの難点といえば、SEのみなさんは多忙(「超」がつくほど)で、なかなか打ち合わせやヒアリングの時間がとれないこと。開発途中でシステムの仕様変更がたびたび入ると、さらに時間的に余裕がなくなり、お互いに厳しい状況に陥ることも時々(しばしば?)あります。
また、エンドユーザーとのお打ち合わせに直接同行する場合と、同行しない場合があります。同行させていただければ情報共有をリアルにでき、マニュアルへの要望を直接把握して、完成イメージも想像しやすくなります。同行できない場合は、担当SEの方のハンドリングによっては難しい案件になるケースもあります。

エンドユーザーと共に

一方、ユーザーから直接ご依頼をいただいてマニュアルを作成することがあります。このケースは業務マニュアルが多いのですが、実際の仕事の現場でダイレクトにヒアリングして作成する醍醐味があります。
昨年の秋から今年の春先にかけて、ある食品関連メーカーの業務マニュアルを作成しました。全10分冊で、800ページという大規模なマニュアルだったのですが、その際の役割分担をあらわしたのが下の図です。

2011.04.112

オレンジ色で示した、お客様側でご用意いただく内容は主に次のとおりです。
●構成設計書:各分冊の当初想定する目次構成(最終的にはかなり変わりました)
●詳細メモ:マニュアルに書くべき内容のメモ(業務の背景や手順が細かく記載)
●既存資料:既存のマニュアルや関連資料類
●参考文献・書籍:マニュアル作成の参考となる文献や書籍

これらの素材をもとに取材・ヒアリングを行い、原稿を作成して、さらに編集・推敲を重ねて10冊のマニュアルを完成させました。毎週定例として取材・ヒアリングのスケジュールを組み、原稿を磨き上げていく作業は、根気とエネルギーを必要とするものでした。ただ、お互いにアイデアや意見をぶつけあいつつ、少しずつマニュアルとしての精度を高めていくことは、苦しくもあり楽しい時間でもありました。
もちろん、エンドユーザーと直接の場合でも、業務のご担当者が多忙のためヒアリングのスケジュールがなかなか決まらない、変更・修正が多い、資料がほとんど用意されていないため何から手をつけてよいか途方にくれる、といったケースもあります。

パートナーとして

システム開発会社とユーザー直接。わたしたちにとってユーザーとの仕事の方が楽しそうな印象を持たれるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
大切なのは根気とエネルギーが必要なマニュアル作成に当たって、いかにお互いを尊重し合い、信頼関係を結べるか。それで仕事の進めやすさが大きく変わってくると同時に、成果物の品質も大きく変わってくるからです。
いずれにしても、マニュアルはわたしたちだけで作成することはできません。お客様としっかりとしたパートナーシップを結び、共に力を合わせて、マニュアルをつくっていきたいと日々考えています。

この度の東北地方太平洋沖地震により、被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申しあげます。 日本中が大きなショックを受けた大災害からの復興。長く厳しい道のりです。誰もが感じるように、みんなが力を合わせて前へ進まなければなりません。その決意を再確認する意味も込めて、今回のコラムのテーマが生まれました。