【コラム】提案書のツボ

連載 第8回 2010年9月8日

昨年の秋に本Webサイトをリニューアルして1年。最近、Webサイトを通じてのお問合せが増えています。Webサイトからのお問合せの場合、初めてのお客様ということは当然ですが、他のマニュアル制作会社と競合となる案件がほとんどです。まずはお打合せをさせていただき、マニュアルについての現状の課題をお聞きした上で、お見積を提出するのですが、当社はお見積だけを単独で提出することはほとんどありません。必ず見積の背景となる提案書を作成しています。
今回は提案書について考えてみます。

提案書に「らしさ」を

提案書は初めてのお客様にだけ提出するものではありません。既存のお客様でも、新しいテーマに取り組むような場合は、提案書を提出することになります。
特に決まった書式を用意しているわけではなく、案件ごとに与えられた課題によって、その都度、頭を悩ませながら書き上げることとなります。
ただ、全体の流れとしては、次のようになるのではないでしょうか。

(1)現状の課題の確認
(2)課題の整理
(3)課題を解決するための提案
(4)提案のバリエーション
(5)提案内容を実現する当社体制
(6)概算予算
(7)暫定スケジュール

(3)の提案については、マニュアルの編集構成案であったり、デザイン・サンプルであったり、与えられた課題によって内容はいろいろです。はっきりした課題がなく、単に見積提出だけを求められた場合でも、何かしら解決すべき課題を明確にするようにしています。
お客様の立場になれば、予算をかけてマニュアル作成を依頼するわけですから、提案書の一言一句に目を凝らして確認されているに違いありません。文言はもちろん、図解、フローチャート等は、それこそわたしたちが作成するマニュアルの品質やセンスと同等であると、お客様はイメージされるはず。「提案書のセンスがよければ、きっと素敵なマニュアルをつくってもらえるに違いない」。見えない競合他社と差別化するためにも、いかに当社らしさを提案書に表現するかに気を遣います。
ただし、「当社らしさ」といっても、何をもって当社らしさとするかは、たいへん難しいところです。同じ要件から最終的にできあがるマニュアルの機能はそれほど変わらないはずですし、そこにいたるプロセスにもそれほど大きな違いがあるとは思えません。残るは、見積金額の高い、安いだけのコスト判断となるのでしょうか。

『ブランド』から見渡す

当社の姿勢として、創業以来の伝統である『ユーザー目線』は基本ではありますが、もうひとつ、大切にしているものがあります。それは、どのようなマニュアルであっても企業から発信される情報である以上、すべて『ブランドの価値体系』に連動している、ということです。『ブランドの価値体系』とは何か、についてはまた別の機会に譲るとして、シンプルに次のように考えるようにしています。
そのマニュアルの対象者が社外のユーザー等であれば、製品やパッケージや広告物と同じ目で見られ評価されていることを意識しなければならない。
一方、社内向けの業務マニュアルであれば、そのマニュアルは社員の帰属意識やモチベーションに深く関与するはず。
こうした視点から常に検証することで、その企業が発信すべきマニュアルのあるべき姿が自然と浮かび上がってくるのではないでしょうか。
新しいお客様の場合は多くの情報がないため、提案書を作成する段階ですぐにマニュアルのあるべき姿が思いつくわけでもありません。時には、とてもあいまいなところから提案をひねり出さなければならない場合もあります。
それでも、『ユーザー目線』という最も身近な視点と、『ブランドの価値体系』という概念として高いところから見渡す発想のバランスが、当社らしさとして提案内容や提案書に表現できれば、お客様は何かを感じてくれるのではないでしょうか。
お客様の判断基準がたとえコスト優先であったとしても、提案書で何かが伝えられれば……とはいっても、受注につながらない提案書では意味をなさないことも承知しております。もちろん。