【コラム】組織文化を超えて

連載 第7回 2010年8月6日

当社にマニュアル作成を依頼されるお客様の業種、部署はさまざまですが、当然のことながら、システム開発部門(会社)の方々と打合せをすることが多くあります。システムの内容についてレクチャーを受けたり、作成したマニュアルのレビューをしていただいたり。ある意味では、システム開発の皆さんとのコミュニケーションが、質の高いマニュアルをスムーズにつくりあげるポイントでもあります。ただ、ひと口にシステム開発部門といっても、それぞれの会社によって考え方や方法論は千差万別。わたしたちは、まさに組織文化の違いに直面しつつ、マニュアルを作成しています。

あるシステム開発会社、2社の違い

最近、システム開発会社2社とマニュアル作成のお仕事を新規にさせていただきました。
まずは、とある大手企業の人事系のシステムを開発しているA社様。
わたしたちは、A社様から依頼され、操作マニュアルの作成を担当しました。まずマニュアル作成に必要と思われる要件定義書や仕様書をはじめとする各種資料をご用意いただき、システムの概要から、詳細な操作手順や画面遷移の流れまでをレクチャーしていただきます。さらにマニュアル作成専用の環境を用意していただき、ここには当然、画面採取のための各種データも準備された状態でした。不明点や質問は随時、ご担当者に確認するなど、フレキシブルに対応していただきました。
もちろん、度重なるシステムの変更やマニュアルの修正依頼もあり、タイトな納期のなかで苦労する場面も少なからずありましたが、進めやすい案件となりました。

一方のB社様。A社様と同様、ある企業の社内システムの開発をされているのですが、最初の打合せの場で「必要な資料があればそれを言ってください。それから、打合せをする時間はあまりないので、どの程度の時間が必要かを言ってください」。わたしたちはシステム開発会社ではありませんので、システムの概要をつかむためには、まずいろいろ教えていただかなければなりません。どのような資料があるのか不明な段階では、マニュアル作成に必要と思われる資料を特定することは不可能です。しかも、時間は限られている。
B社様には、わたしたちの事情をよくご説明し、できるだけご協力いただけるようお願いしました。なんとかご理解を得てマニュアル作成を進めましたが、画面採取のための環境やデータの準備等も進まず、なかなか難しい案件となってしまいました。

理想と現実

時期を同じくしてたまたま極端な案件を体験したのですが、A社様の組織文化がすばらしく、B社様はそうではない。と、わたしたちが言い切れる問題ではありません。
A社様は、これまで比較的多いタイプで、わたしたちは恵まれていたのでしょう。
B社様は、限られた時間と条件のなかで効率的に仕事を進める方法を率直に探りたかったのかもしれません(すべてを効率的に進める組織文化なのでしょう)。それだけB社様はわたしたちへの期待が大きかったとも言えるわけです。今思えば、B社様とは、もう少しスムーズに仕事を進められたのではと感じています。

操作マニュアルの目的は、ユーザーが的確にシステムを使いこなすサポートをすることにあります。その目的を果たすためには、システム開発側とわたしたちがその目的を共有して、お互いに協力しなければなりません。
もちろん、現実として、仕事を依頼する側と依頼される側という立場の違いはあります。予算やスケジュール、その他いろいろ制約される条件もたくさんあります。組織文化やご担当者様個人の仕事の進め方も大きな要素です。しかし、わたしたちの姿勢が明確で、かつ柔軟な対応力さえあれば、きっと理解されるはず。なかなか理想どおりに進まないことではあるものの、案件ごとに一つひとつ取り組んでいくしかない、と日々考えたりしています。