【コラム】“ユーザー目線”でマニュアルをつくる

連載 第4回 2010年2月28日

2010年がスタートして早2カ月。景気が不透明な状況は変わりませんが、今年はマニュアルの問い合わせが多くなっています。そこにはひとつの傾向があるようです。その分析前に、まず、当社のマニュアルづくりのルーツからお話したいと思います。

インストラクターがマニュアルを書く

わたしたちのマニュアル作成の歴史は、システム操作のインストラクターが直接マニュアルを書くことからスタートしています。
マイクロメイツの主要なビジネスのひとつとして、業務アプリケーションの導入支援があります。いわゆるERP(統合基幹業務システム)をはじめとするさまざまな業務アプリケーションのカットオフに合わせて、ユーザーである社員のみなさんにその操作を教育し、導入と定着化をサポートする仕事です。
具体的には当社の社員がインストラクターとしてシステム操作のユーザー研修等を担当するのですが、まずはインストラクター自身がシステムを理解することからスタートします。また、実際にシステムを使用するのは会社の社員のみなさんですから、該当する業務フローの理解も必要です。業務に即してシステム操作を身につけていただかなければならないからです。
さらに研修のためのシナリオやテキストをインストラクター自身が作成します。“ユーザーの目線”に立って研修の構成を組み立て、テキストとして平易に簡潔に記述し、その内容を研修の場で伝える。こうした経験を重ねるなかで、インストラクターがつくったテキストが高く評価され、研修とテキストだけでなく、マニュアル作成まですべてをひとり(あるは複数人)が担当してサービスを提供するようになりました。「伝える」というサービスを、「話す」「書く」というマルチスキルで対応する。最も効率的で効果的なソリューションが多くのお客様から喜ばれるようなり、現在ではカットオーバー後のヘルプデスクまでを一貫して提供しています。
一方で、システムの導入支援とは直接関係なく、操作マニュアルや業務マニュアル、取扱説明書を単独で作成するビジネスを展開するようになりました。もちろん、どのような案件でも“ユーザー目線”を徹底する伝統は受け継がれています。

“ユーザー目線”増加中

さて、年明け早々からマニュアル作成の問い合わせが増えています。
例年この時期は年度末に合わせた予算消化やシステムのカットオーバーが多く、忙しい時期ではあるのですが、今年はひとつの特徴があるように思います。問い合わせのほとんどが、“ユーザー目線”でのマニュアルを必要とされていることです。
いくつか例をあげてみましょう。

■A社・社内システム
システム開発会社であるA社が作成したマニュアルがユーザーのニーズに合致せず、何度もつくり直しとなっている。改めてユーザーにとってわかりやすいマニュアルを作成してほしい

■B社・販売物流システム
いわゆるERPを導入したB社。しかし、社員が利用しやすいマニュアル類がシステム開発会社から提供されないため、操作(業務)マニュアルが必要

■C社・ネットワーク監視システム
C社が提供するサービスのリニューアルに伴い、利用者向けのマニュアルを作成したいとの依頼。従来は社内で作成していたが、今回はエンドユーザーにとってわかりやすいものをつくりたい

■D社・介護関連システム
システムを開発・販売するD社ではこれまで社内でユーザーマニュアルを作成。しかし、社内での創意工夫も限界となり、さらにわかりやすく利用しやすいマニュアルを専門会社と一緒につくりたい

■E社・金融機関賃貸借システム
業務の流れとE社が開発した新しいシステムを関連づけて、従業員が日常的に利用できる「業務ガイドブック」を、エンドユーザーである金融機関が望んでいる

ユーザーにとってわかりやすい、マニュアル。当然といえば当然のことですが、実際はなかなか難しいようです。特にシステム開発会社にとって“ユーザー目線”のマニュアルは、大きな課題もしくは負担にもなっているように感じます。
その理由は大きくふたつあります。まず、システム開発側に“ユーザー目線”でのマニュアルをつくるノウハウがなく、システム操作中心のマニュアル提供となっている。
もうひとつは、ユーザー側は当然のように、自分たちにとってわかりやすく、使えるマニュアルを要求していること。苦労してつくったシステムを、生かすも殺すもマニュアル次第。ユーザーにとってマニュアルはシステムの付属物ではなく、重要なサービスのひとつとして位置づけているのでしょう。

モチベーションを高めるマニュアルづくりへ

“ユーザー目線”からのマニュアルづくりは、わたしたちにとって自然なアプローチです。しかし、簡単なものではありません。システムや業務フローを理解し、言葉、表、フローチャート等を駆使しつつ、いかにわかりやすくマニュアルに表現するか。毎日毎日、悪戦苦闘しているのが現実です。
さらに、マニュアルを通じて、ユーザーのみなさんにシステム操作や業務を適切に身につけていただくだけでなく、モチベーションを高めることはできないか。そんな欲張りなマニュアルづくりをめざしたいと考えています。