【コラム】マニュアルを作る人ってどんな人

連載 第3回 2010年1月29日

新しいお客様を訪ねたとき、ときどき「マニュアルをつくれる人って、すごいですよね」というお話をいただくことがあります。マニュアルをつくっている立場からすると、うれしいような、照れくさいような、複雑な気持ちになるわけですが、果たして、そんなにすごい人なのでしょうか。

すごい人?

新規のお客様の開拓は企業にとって永遠のテーマ。当社もいろいろな企業様にご挨拶を兼ねてマニュアル作成のご案内をする機会を増やしています。その際にときどき、次のようなリアクションをされることがあります。

「マニュアルをつくるのは、ほんとうに難しいですよね、わたしには絶対できません」
(確かにマニュアル作成は簡単ではありませんね……)

「いったいどれほどすごい人がつくるんでしょうね」
(あなたの目の前にいる、わたしがつくっているんですが……)

「こんがらがった情報を整理して、伝わるように言葉に書いて、ほんとうにすごい能力ですよね」
(やっぱり、わたしはマニュアルをつくる人に見えませんか……)

システム開発会社さんに多い反応なのですが、完成したシステムのマニュアル作成にご苦労されている様子が伺えます。わたし自身がどのような印象を持たれるかは別にして、マニュアルを書くという仕事がとても高く評価されていることについては、素直にうれしく感じます。

マニュアルをつくる能力

そこで、マニュアルを書くにはどのような能力が必要なのか、改めて考えてみました。

■客観的情報把握力
システムの構造、画面遷移の流れ、あるいは業務マニュアルであれば、業務プロセス等を第三者の目から客観的に把握する能力が必要です。

■論理的思考力
把握した情報やプロセスを改めて要素ごとに分解し、それらの因果関係を整理して結び付けなければなりません。

■情報構成力
その因果関係を、ユーザーにとってわかりやすいよう、階層あるいは項目ごとにまとめ、1冊のマニュアルの目次構成としてストーリーをつくる能力が必要です。(ここまではパズルを解くような感覚かもしれません)

■表現力①(文)
ストーリーに基づいて、一定の表記ルールに基づき、正確でわかりやすい日本語で表現する能力が必要です。(正しい日本語を書くことはほんとうに難しく、日々格闘しております)

■表現力②(ビジュアル)
一定のデザインフォーマット(テンプレート)に基づき、わかりやすく、見やすいレイアウト、チャートや図表で表現をする能力が求められます。

■アプリケーションスキル
表現したい内容を、MS-Word、PowerPointなどのアプリケーションを駆使して、的確に定着させる能力が必要です。(「表現力②(ビジュアル)」と「アプリケーションスキル」は、専門のデザイナーが分業する場合もあります。当社では多くの場合、ライターがMS-Word等を使ってDTP作業も行いますので、大切な能力のひとつとしています)

■社会常識・洞察力・コミュニケーション力
マニュアルを使うユーザーの心情を理解し、そのシステムや機器を利用する場面、環境等を推量しなければなりませんから、いわゆる社会的常識、洞察力も必要です。また、マニュアル作成は、開発者やユーザーをはじめとするさまざまな関係者と作業を進めなければなりません。当然、コミュニケーション能力も不可欠です。

ここまで整理してみると改めて発見がありました。マニュアルをつくる人って、すごい人ですね。今さらではありますが、自画自賛しつつ、「そんな能力がほんとうにあるのか?」と自問自答して恥ずかしくなるやら、なんとも複雑な心境になります。

経験で磨く

もうひとつ改めて気づかされたのは、マニュアル作成には経験が必要であること。
多くのマニュアルをつくることで、情報把握力、構成力、表現力などたくさんの能力が磨かれ、引き出しがどんどん増えていくはずです。そのためにも、一つひとつの案件を大事にしていきたいと思っています。